CanonTLb  F−1時代の普及機の中の普及機

 
FTbというカメラはF−1に対しては普及機であり、FTbに対してさらに普及機なのがこのTLbである。一般的にはいらないと思うものを全て引き算すると、結果としてこうなったみたいな感じである。
まずシャッタ−であるが1/500秒どまり、ホットシュ−は無し。セルフも無し。セルフのように見えるレバ−は絞込み測光用である。
測光方式はFTbのような部分測光ではなく、一般的な中央重点平均測光。
なるほど、こうやってスペックをよく眺めれば必要最小限にして十分という感じである。


みのかんとTLb
このカメラは地元の電気屋さんのおばあちゃんより永久に貸してもらっている。このことは一般的にはもらったというべきかも知れないが、おばあちゃん曰く
「ず−っと貸しといてあげるね。カメラが必要になった時は言うから、それまで永久に貸しといてあげる」
ということなのである。
これはおばあちゃん独特のユ−モアとやさしさである。進呈するということになると、こちらもそれなりのお礼をしなければならないからである。
動物好きの人で、一度猫の写真を頼まれた事がある。カラ−ネガで撮ってあげた。これが自分なりのお礼のつもりであったが、実費以上の礼金をもらってしまった
ところがその猫が一週間後に交通事故で亡くなってしまった。カラ−ネガをモノクロで引き伸ばしてあげた。猫の葬式写真である。

このTLbを見ると不思議とやさしさという言葉を思い出す。ここまで気を使ってくれる人はあまりいないだろう。
おばあちゃん、永久にこのカメラ借りときます。

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